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僕の秘密基地
「暑いなぁ……」
田舎の日差しは、容赦なく僕の上に降り注ぐ。
こっちに来てまだ一週間も経っていないのに、僕の肌は程よく焼け始めている。
まだ、伯父や伯母とは比べ物にならないけれど。
その日、僕は探検と称して裏山を散策していた。
ここへは以前、伯父さんに連れて来てもらったことがある。
何年も前のことだから、あんまり記憶はないけれど。
伯父の家から、歩いて30分くらいだ。
ちょっと遠いけど、僕ももう五年生だから、今日は一人で行って良いってことになったんだ。
「じゃあ、気を付けて行くのよ。何かあったらすぐに電話するのよ。」
「わかってるよ。」
お母さんに見送られ、僕は裏山に向かった。
ワクワクする気持ちと、ちょっと心細い気持ちがあった。
そもそも山なんて滅多に行かない。
僕の家の近くには山なんてないんだから、仕方ない。
お母さんの実家のここには、山も川も海もある。
だから、夏休みにここに来るのが、僕はとても楽しみだった。
川で魚を釣ったり、浮き輪で海をプカプカ漂ったり…
ここで過ごす夏休みは、最高だった。
そんなことを考えてるうちに、山に着いていて、僕は流れ出す汗を拭った。
迷う道でないけれど、ここまで一人で来られたのが、どこか誇らしい気がした。
今日は、カブトムシやクワガタを採るつもりだ。
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