夕暮れ時の一目惚れ

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 この道を歩いて行ってもコンビニどころか店屋もない。それは分かっていたが、この辺りは県道があるだけで、右手には山、左手には海と休める場所がないのだ。歩き続けるしかない。 「せめて公園でもあればなぁ。あー、神社仏閣もいいな」  バスが日中は三時間に一本、夜は無しという運行状況。おかげで、もう少しで日が落ちるという頃に放り出された俺は、どこへ行こうにも足がなかった。宿泊施設のある隣町まで歩き続けるしか道はなく、こうして県道を歩いている。  歩き続けて足は棒のようになっていたし、座る場所を探してもガードレールくらいしか見当たらない。タクシーを呼べばよかったと思いはしたが、来るまでに時間がかかるし、その間に夜になってしまう。 「詰んだ……」  坂道を登りきったところで、諦めてガードレールに腰掛ける。ガードレールの先は断崖絶壁で、遥か下では波がちゃぷんと音を立てていた。波の合間に岩が見え、このまま落ちたら即死だろうなと思う。
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