これから

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「本題に入る前に一つ。ユリアナ、クリストフよ、余の娘をここまで育ててくれて礼を言う。褒美を後日届けよう。何か希望はあるか?」 「「ありがたき幸せ。お気持ちだけでようございます」」  ユリアナ、クリストフは皇帝の前でそう言って、平伏した。 「では、そなたらに公爵位を授ける。丁度一つ領地が空いてたのでな。ただ、こちらでの生活もあるゆえ代行に任せておけば良い。第二の家だと思ってくれ給え。後継はそなたの息子かびるるんの子に任せれば良い。叙爵式はこの場を借りて簡易的に行う」 そう、叙爵式は普通はこんな急には行われない。ただ、今回は皇帝がびるるんの迎えに行くことから先に準備がされていた。他国の人が一代で公爵位を賜ることは例外だ。今回は異例の叙爵となった。 「「私達はこのご縁を忘れません。皇帝陛下に忠誠を誓います」」 「楽にしなさい。そなたらはびるるんの第二の親だ。そんな畏まらなくて良い。そなたらは我が国において準皇族の扱いになっているゆえ。前置きが長くなってしまったのう。では、これからのことについて話すとするか」 そう言って皇帝及びその場に居る人達はお茶を一口飲んだ。 「まずびるるんに確認しておくことがある。びるるんよ国に帰る気はないか?無理に皇女として振る舞えとは言わない」 「そうですねぇ……私が向こうに行っても、お母さんたちと今迄のように接することができますか?」 「勿論。先程も言ったとおり準皇族扱いだからな。今迄と何も変わらないぞ」 「なら行ってみます。実の両親どの時間も大事にしたいですし。ただ、今すぐというのは無理です。ここに何年も住んでるわけですから」 「そこは配慮しよう」 こうして、びるるんは祖国に帰ることとなった。 「では次に進むとしよう。ララノア、びるるんが国に帰るときで良いから貴女も顔出しに来てほしい。皇妃が会いたがってる」 「わかりましたわ。姉によろしくお伝え下さいませ」 「承知した。迎えは一週間後に良いか?びるるん、ララノアよ」 「「はい。問題ありませんわ」」 「では最後に、クリストフ、ユリアナよ。公爵邸、使用人はこちらで用意するから心配するな。代官を候補者募るから選んでほしい。連れて行きたい使用人がいたら連れて来るが良い。領地は旧帝都だ。時間があるときに訪ねてきてもらって構わない」 「「承知しました」」 これで、これからのことについての話が終わった。 時刻はもう夕食の時間となっていた。 皇帝たちは、この時間から帰るのは危険だと判断し、一晩泊まることにした。 びるるんは、スンミョンと一緒にご飯を食べ、一足先に眠ることになった。 大人たちはお酒を遅くまで飲んでいたそうだ。 ──翌朝 「ではお世話になったな。クリストフ、ユリアナよ。私は一足先に戻るとする。びるるん、ララノア一週間後に迎えを出す。それまでゆっくり過ごしなさい。スンミョンはどうする?先に戻るか?」 「父上。私はせっかく妹と話せたのですからまだ残ります。そして妹と一緒に戻ります」 「そうか。分かった。びるるんを頼んだぞスンミョン」 「はい。おまかせ下さい父上」 「ではまた会おう。皆の者」 そう言って馬に乗って去っていった。
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