生まれ故郷にむけて

1/1
前へ
/7ページ
次へ

生まれ故郷にむけて

 家族水入らずの生活をすると時の流れは早いもので、遂に故郷へ向かう日がやってきた。  「びるるん、配膳を手伝って頂戴!あっ、スンミョン様はそのままで大丈夫ですから」  「はい、母さん。お兄様、手伝ってきますね?」  「あぁ、行っておいで我が愛しの妹よ」  びるるんはユリアナと二人で台所に立った。おそらくこれで最後だろう。そう思うと、涙が出てくるものだ。 ──1時間後  ガタッガタッガタッ  ((皇女様方はこちらにいらっしゃるのか)) 「なんか、外が騒がしいな。ユリアナ、外見てくるよ」  「行ってらっしゃい。あなた」 ──数分後    「皇子殿下、皇女殿下。お迎えに参りました。今回護衛長を勤めさせていただきます、ロンと申します。皆様準備が済み次第、出発致しますので、馬車にお乗りくださいませ」  びるるんは、慣れぬ待遇に固まってしまった。 そんなびるるんを見て皆はクスクス笑うのであった。和やかな雰囲気になったところでびるるんは緊張が緩み、護衛長の後ろに視線を動かした。 (なんて、カッコいい人なの。あの人のことをもっと知りたいわぁ)  そんな、びるるんの気持ちを読み取ったのか、護衛長の後ろに立ってた、男性がびるるんの前に跪いて、騎士の礼をした。  「皇女殿下、私の名はマロンと申します。皇女殿下の護衛をすることになりました。命にかけてもお守りします。どうか、私の剣を受け取ってくださいませ」 な、なんと、かの人は専属護衛であった。これから毎日会うことになるだろう。漢の国への移動中にもっと彼のことを知ろうと思うのであった。 ──2時間後  騎士たちの手伝いもあって荷物の整理を終わらせることができた。ついに、馬車に乗って出発だ。騎士たちは、騎馬に乗って護衛する予定だ。 びるるんは、マロンと馬車に乗れると思っていたが、残念。そんな様子に、スンミョンは、 「マロンと言ったか、そなたは妹と移動してくれ。妹がそなたのことを大変気に入ったようだ」  「まぁ、お兄様。ありがとうございます。マロンと一緒になれるだなんて嬉しくて嬉しくて」 「可愛い妹のことなら私が叶えるまでだから、気にしなさんな」 「お兄様、素敵です。大好きです」 びるるんは、マロンと馬車に同乗して、無事出発することができた。ここから、漢の国までは1日で行くことができる。今回は途中の宿場町で1泊することになった。 ──馬車の中にて  「マロン、私のことはどうかびるるんと呼んで?私は貴方と仲良くなりたいの」  「ですが……」  「お願い?ね?お父様から何か言われるようなら、私の婚約者ということにするから」  「承知致しました。びるるん様」 こうして一行は漢の国へ向かっているのであった。 ──── 休載中からまた更新中にステータス変更します。 よろしくお願い致します。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加