1人が本棚に入れています
本棚に追加
生まれ故郷にむけて
家族水入らずの生活をすると時の流れは早いもので、遂に故郷へ向かう日がやってきた。
「びるるん、配膳を手伝って頂戴!あっ、スンミョン様はそのままで大丈夫ですから」
「はい、母さん。お兄様、手伝ってきますね?」
「あぁ、行っておいで我が愛しの妹よ」
びるるんはユリアナと二人で台所に立った。おそらくこれで最後だろう。そう思うと、涙が出てくるものだ。
──1時間後
ガタッガタッガタッ
((皇女様方はこちらにいらっしゃるのか))
「なんか、外が騒がしいな。ユリアナ、外見てくるよ」
「行ってらっしゃい。あなた」
──数分後
「皇子殿下、皇女殿下。お迎えに参りました。今回護衛長を勤めさせていただきます、ロンと申します。皆様準備が済み次第、出発致しますので、馬車にお乗りくださいませ」
びるるんは、慣れぬ待遇に固まってしまった。
そんなびるるんを見て皆はクスクス笑うのであった。和やかな雰囲気になったところでびるるんは緊張が緩み、護衛長の後ろに視線を動かした。
(なんて、カッコいい人なの。あの人のことをもっと知りたいわぁ)
そんな、びるるんの気持ちを読み取ったのか、護衛長の後ろに立ってた、男性がびるるんの前に跪いて、騎士の礼をした。
「皇女殿下、私の名はマロンと申します。皇女殿下の護衛をすることになりました。命にかけてもお守りします。どうか、私の剣を受け取ってくださいませ」
な、なんと、かの人は専属護衛であった。これから毎日会うことになるだろう。漢の国への移動中にもっと彼のことを知ろうと思うのであった。
──2時間後
騎士たちの手伝いもあって荷物の整理を終わらせることができた。ついに、馬車に乗って出発だ。騎士たちは、騎馬に乗って護衛する予定だ。
びるるんは、マロンと馬車に乗れると思っていたが、残念。そんな様子に、スンミョンは、
「マロンと言ったか、そなたは妹と移動してくれ。妹がそなたのことを大変気に入ったようだ」
「まぁ、お兄様。ありがとうございます。マロンと一緒になれるだなんて嬉しくて嬉しくて」
「可愛い妹のことなら私が叶えるまでだから、気にしなさんな」
「お兄様、素敵です。大好きです」
びるるんは、マロンと馬車に同乗して、無事出発することができた。ここから、漢の国までは1日で行くことができる。今回は途中の宿場町で1泊することになった。
──馬車の中にて
「マロン、私のことはどうかびるるんと呼んで?私は貴方と仲良くなりたいの」
「ですが……」
「お願い?ね?お父様から何か言われるようなら、私の婚約者ということにするから」
「承知致しました。びるるん様」
こうして一行は漢の国へ向かっているのであった。
────
休載中からまた更新中にステータス変更します。
よろしくお願い致します。
最初のコメントを投稿しよう!