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「判っています、村長。僕は、もう大丈夫です」
その言葉を聞き、テア村長は満足げな笑みを微かに浮かべたが、直ぐにまた真顔に戻り言葉を紡いだ。
「よいか、ロキ。
もう気付いておろうが、怪物は、イドラは、お主自身の心、己の恐怖心そのものなのだ。
惑わされるな。自分の技に自身と誇りを持て。
イドラの邪悪な姿態に気圧されてはならぬ。
イドラの醜隗な囁きに耳を傾けてはならぬ。
自分が何を為すべきか、だけを考えるのだ。
これは、単なる怪物退治ではない。お前のこれからが、すべてが掛かった戦いなのだ。
そのことを決して忘れるでないぞ」
「ありがとうございます、村長。
でも、もう僕は決して自分に負けませんから」
踵を返して歩き始めたロキの瞳には、力強い生気が宿っていた。
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