4.その橋の向こうへ

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谷間に掛かった灰色の霧が晴れ、雲間から青空が顔を覗かせた。久し振りに見た青空のような気がする。  イドラを退治した翌日、ロキは早速サクラと連れ立って村の入り口へと向かった。  向かう途中、長らく怪物に橋を堰き止められて村への入り口を塞がれていた果物売りの行商人が、荷馬車に彩取り取りの美味しそうな果実を満載してやってくるのと行き逢った。ロキたちの活躍のお陰で、淀んでいた村の空気が、また活気を取り戻しつつあるのだ。  ガタゴトと揺れる果物籠を押さえながら荷馬車の荷台に乗っていた果物行商の大将が、ロキに気付いて声を掛ける。 「よぉ、兄ちゃん、聞いたぜ。あんたがあの邪魔な怪物をやっつけてくれたんだってな。あんがとよ」 「いや、僕は何も…」 「へへ、謙遜しなさんなって。ほうら、こいつはまた村で商売ができるようにして貰ったお礼だよ、勇者さん」  商売人らしい手拭いを頭に巻き付けた大将が、真っ赤に熟れたリンゴをポンと荷台の上からロキとサクラに放って寄越した。真っ赤に熟れたリンゴは、掌の中でズシリと重たかった。  サクラが貰ったリンゴをポンポン投げ上げて玩びながら、 「そいつは、《ブレイブアップル》っていう品種の高級なやつだよ。よかったねぇ、ロキちゃん」 と、軽々しく現金なことを言ってロキに笑顔を向ける。
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