4.その橋の向こうへ

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やがて二人は村の入り口にある谷間に掛かる橋の袂にやって来た。 コインに導かれてやって来たこの村も、本来ならフラッと立ち寄っただけの村の一つである筈だった。樹木が心地よい木陰を作り、近くを小川が流れ、見渡す限りの萌えるような緑で覆われた牧歌的な風景。絵本の中から切り取ってきたような、のどかな辺境の村。 ロキがどうしても見たかった風景がそこにあった。 この村にやって来たときから気になっていた視界のその先。 「ほら、ロキ、この先だよ。ずっとずっと見せたかったんだ。この橋の向こう側の景色をね。行こ!」  サクラに促されてロキは歩を進める。  風景を塞ぐ棘怨の怪物はもうおらず、視界を遮る寂漠とした霧は何処へと消え去って、今は小鳥がのどかにさえずり、太陽の光を燦々と橋の欄干が浴びていた。 「ほら、これだよ、ロキ」  サクラの言葉に、フッと橋の向こう側に視線をやったロキの瞳に映ったのは―】
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