昔々あるところ

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男もクツクツ笑い楽しそうだ。 「体が風船のように伸び縮みするご家族を持つと大変なのですね」 息をするように皮肉を言う彼に、胸が空く。 「ところで、あなたのドレスのご用意は?」 ワタシは、男がまた冗談を言っていると思った。 そうでなければ、先日の話を忘れているか。 ワタシはパーティーの準備はすれど、行かないのだから。 ワタシは飄々と首をすくめることで、なんとか雰囲気が悪くならないようにした。 男は今さら気がついたように笑う。 胡散臭さのある彼の場合、その笑みがワザとかどうか判断がつかなかった。 「そうでした。すっかり忘れていました。ですが王子様は、誰よりもあなたと会いたいようですよ」 「えっ?」 王子のことを知っているような口ぶりにワタシはとても驚いた。 ワタシが言うのもなんだが、まるで普通な男が王子に接点があるとは思わなかったから。 男はワタシの驚く顔を見ると、顔を綻ばせる。
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