昔々あるところ

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サプライズが成功したと言わんばかりだ。 「王子と会ったことがあるの?」 ワタシは男に聞くと男は、ニンマリ笑った。 「ええ、ええ、ありますとも。私の姉が魔法使いなものでして。姉は、ある不幸な少女を舞踏会に送り込んだのですよ。その少女が王子と結ばれるというもので、姉の手伝いをした私も姉と共に一足先に城へ招待されたのです。そのときに王子とプリンセスと楽しい時間を過ごしました。なにより、プリンセスとなった少女は、それはそれは美しかったです」 「そうですか」 男は熱っぽく語るがそっけない声が出た。 胸の奥が、針を刺されたみたいに痛む。 王子は古い友達で、プリンセスになった少女は裁縫のコツを教えてくれた友達だ。 城は屋根裏より近く見える。 だけどずっと遠くに感じる。 男は他にも二人の話をしていたけれど、記憶に残ることなく耳をスルスルと抜けていった。 「しかし、ここだけの話。これほどまでに非の打ち所のない王子がプリンセスのことを愛していないというのは、さすがの私も驚きましたよ」
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