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映画『シャロットの女』はアーサー王伝説をベースに、最新鋭のCG技術とエンターテイメント性の高い脚色で娯楽大作となり、大ヒットを飛ばしたハリウッド映画。どんどんと興行収入を変えていき、巷で話題になっていた。だがシャルロット・ウォーターハウス監督のもともとの作風は、本作と正反対のものだった。彼女はウォーターハウスという名にふさわしく(画家のジョン・ウィリアム・ウォーターハウスからクリエイターとしての名を拝借したのは有名な話だ)艶やかながらもどこか影の濃い作風だった。だが今回は、彼女特有の影の濃さ自体が影をひそめているように感じた。ランスロットとグイネヴィアというふたりの悲劇を扱ったものにも関わらず。
このまま彼女らしからぬ雰囲気のまま終わるのだろうかと思ったが、最後に思いがけないサプライズが待っていた。エンドロール後、監督自らの挨拶の映像が流れた。シャルロット監督は聴衆に語りかけた。
“我々は新たな価値観を創っていかないと、取り残されてしまいます。映画というものは下手をしたら将来残らないものになってしまうという危機感を持っています。現代はコンテンツの受け手にとってよりリアリティの高い体験が選択される時代にあります。しかしながら、映画はただ観客が置いてけぼりになってしまう危険性の高いコンテンツです。まだ特別上映会などでは観客との受け答えが辛うじてできますが、基本的に相互のコミュニケーションを取ることが難しいコンテンツでもあります。そこで、次回作はメタバース内のサロンにてこの映画の内容を精査し、リメイクする内容にしたいと考えております。新しい試みですが、ファンの皆様と一帯となって新しい価値を創り上げたいので、ご協力のほどよろしくお願いします。”
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