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『そろそろご飯食べなよ、美味しかったから』
「ぅん…ぁ…うぅん」
一瞬頷いたものの、気がついたように首を振ってオムライスを食べることを拒否する由梨。
『?なんで』
「はやとくんとはなれたくないの」
大きな瞳をうるうるさせて隼人に訴えかける由梨。
『…じゃあこのまま食べるか』
すっかり由梨が大好きな隼人はそんな可愛いお願いも聞いてしまう。
「えぇ…一緒に食べるの…?まぁいいけど…」
急に懐きはじめた由梨を見て少し高木おばさんが隼人に嫉妬していることも知らずにソファに戻って由梨にオムライスをあーんしている隼人。
「うぅ…私よりも懐いてるじゃないっ」
「…高木さん、大人げないわよ」
そんな会話も露知らず2人の世界でうふうふと男の子同士とは思えないほどのいちゃラブを繰り広げている隼人と由梨だった。
2人の世界を作っている隼人と由梨、それをじとりとした嫉妬の目で見守る高木おばさん、そしてそれを更に呆れた目でみるお姉さんと2杯目のオムライスを笑顔でばくばくと食べる咲。
普通なら絶対に行きたくない空間に玄関のドアが鳴る音がする。
「ただいまー」
少し低い男の子の声。
お姉さんがおかえりーと玄関とリビングの境目にあるドアを開けた。
「え、なんで咲と由梨がいんの…ってなんで小見がいんだよ!!」
「あ、やっぱり知ってたの?隼人くん今日泊まっていくからね、あ、蓮もオムライス食べるでしょ、もう用意してるよ」
「い、いやいるけど…なんで小見がいんの!?でなんで小見は家にとまんだよ!」
『お姉さん、泊まるのは悪いから帰る』
「隼人くん、もう親御さんには連絡しておいたから今日は泊まりなさい?」
『そ、そこまで言うなら仕方ないな…』
「嬉しそうにツンデレ発言をかます小見…
気持ち悪いったらありゃしねぇ!!
てかなんでいんだよ!帰れや!」
「蓮…お小遣いはなしかしら」
「っ…卑怯だぞ」
「はぁ…隼人くんは、ご飯食べてなくてスーパーにいたところを捕まえてオムライスを食べさせたの」
「私もちょうどいたから隼人くんのこと気になって着いてきたのよぉ!」
「…あ"ぁ"っ!母さんはいつも急なんだよ…連絡くらい寄越せっての、まぁいい、小見、お前今日どこで寝る気だ」
『由梨…お腹いっぱいか?まだ半分残ってるぞ』
「無視してんじゃねぇ……」
「蓮の部屋で一緒に寝ればいいじゃない」
「はぁ!?」
「今日だけよ、おねがい、ね?
「仕方ねぇな…」
オムライスおかわりいっぱいあるからね!」
「おばちゃん!さきもオムライスおかわり!!」
「はいはい」
おいてけぼりにされ、イライラが止まらない蓮。
蓮が来る前よりも空間は酷くなったようだ。
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