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「隼人は元から賢いじゃない、でも優斗は自分の力で成績を残したのよ? 褒めるのは当たり前じゃない。」 母は呆れた顔をして言った。 『だから……んだよ』 「全くこの子は……」 『…だからなんなんだよ…10番なんて努力の内に入らないだろ』 「なっ!ちょっと隼人…そんな言い方!」 驚いたように目を見開き、母は隼人を怒鳴りつけた。 『ボクの…僕の方が頑張ってる! 僕がいつも1位を取ってるのは自分の努力と実力だ!』 「お、お兄ちゃん…落ち着いて…」 優斗が泣きそうな顔で近くに小走りで寄ってきて、手を前に出した。 パシっ! 隼人はその手を叩き落とした。 『黙れ!お前の方が馬鹿の癖に! 僕に何も勝ったこと無い癖に! 僕より下の分際で!お兄ちゃんなんて呼んでんじゃねぇ! お前は僕の弟じゃない!』 思いつく限りの言葉をただただ並べて酷い言葉を投げつけた。 隼人は馬鹿みたいにおろおろした優斗を睨み付けた。 憎しみの籠った目で。 「ひっ!お兄ちゃ…ぼく…ごめ…なさい」 パン! 乾いた音が鳴り、耳鳴りがした。 とうとう泣き始めてしまった優斗を睨み続けていた隼人の頬を母が叩いたのだ。 女性の力では大したことは無いかもしれないが、小学生の隼人には随分と強い力に思えた。 「いい加減にしなさい!なんてこと…それでも家族なの!? ほんとに…こんな子が私の子供なんて…信じられない!あんたなんてっ!」 「母さん、言いすぎだぞ」 怒鳴り散らす母を収めるように父が冷静な声で言った。 母さんは言葉の続きを言わなかったけれど、 隼人は子供ながらに悟った。 『みんな、居なくなればいのに…』 ポロっと言葉が零れ落ちた。 「なっ!」 "あっ!" 自分の吐いた言葉に冷静になった途端怖くなり、隼人は自分の部屋へ逃げ込んだ。
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