優斗目線

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優斗目線

「またなー優斗」 「うん、また明日!」 学校からの帰り道、家のすぐ前の公園でいつもどうり友達と別れる。 "今日は帰ったらお兄ちゃんとゲームしよう" 一昨日、喧嘩といって良いかは分からないがすれ違いでお兄ちゃんを傷つけてしまった。 昨日仲直りをしたけど、やっぱり少し気まずさが残っていた。 だから一緒にゲームをして遊ぼうと学校で計画した。 『お前は俺の弟じゃない!』 お兄ちゃんがぼくに言った言葉を思いだし、 胸が締め付けられた。 "いや、お兄ちゃんはそんなこと思ってないって言ってくれたんだから、ぼくがお兄ちゃんを信じなくてどうするんだ" ぼくが気がついたときには、いつもぼくがお兄ちゃんよりも成績が低くても褒められた。 「お兄ちゃんは一番だよ?」 そう言っても周りは、 「隼人はなにもしなくても出来るから。 でも優斗は努力をしたでしょう?」 最初は納得できなかった。 そんなことない、ぼくはあんなに頑張ってもいつも一番を取れないんだ。 だからお兄ちゃんはもっと頑張ってるはずだ。 そうじゃないと、ぼくの努力はどうなるんだ。 嫉妬だった。 だけど、いつ見てもお兄ちゃんが勉強している素振りはない。 いつも部屋に籠ってるばかりだ。 いつしか努力をしていなくても一番を取れてしまうんだな、って気づいた。 その時から嫉妬はなくなった、お兄ちゃんは "そうゆう人なんだ"って、分かったから。 でも凄いねって言うと、お兄ちゃんは嬉しそうにした。そんなことないよって言いながら。 だから、凄いね、凄いねと言い続けた。 そこには、特になんの感情も無かったけど。 "お兄ちゃんはそうゆう人なんだ"って気づいてから、気まづさは無くなった。 よく一緒に遊ぶようになった。 勉強も教えてもらうようになった。 普通の仲の良い兄弟になったんだ。 なのに、お兄ちゃんは弟じゃないって。 でも、違うって。 でも、でも… なんか、嫌な感じだ。 モヤモヤする。 だから、考えないことにした。 鍵を取り出して家のドアを開けた お兄ちゃんは学校は休んでるはずだから、はやくゲームに誘おうっと。 ガチャ タタッ ? 誰かが階段をのぼっていった。 お兄ちゃん…だよね?でもなんでそんなに急いでたんだろ。 ……まぁ、いっか。 ぼくも2階の自分の部屋に行って、ランドセルを下ろした。 お兄ちゃんの部屋のドアをノックする。 「お兄ちゃんー、ただいま!一緒にゲームしようよ!」 返事が返ってこない。 「お兄ちゃん?お兄ちゃーーん!」 居ないのかな? でも、さっき急いで部屋に… 寝てるのかも ドアを開けようとした、でも開かない。 鍵がかかってる、お兄ちゃんが部屋に鍵を掛けるなんて、なんで… もしかして、ぼくと会いたくなかった? そんなはず…そんなはず、、ない、よね 「お、お兄ちゃん…なんで、鍵掛けてるの? …やっぱり、ぼくのこと嫌いになった?」 『…るさい』 「あ、おにいちゃ」 『うるさい』 「…ごめんなさい」
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