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ぎゅるるるるるるぅぅ…… "おなかすいた" 母に顔をあわせないようにしろと言われてから、深夜みんな寝ている時間にお風呂に入ったり歯を磨いたりと、それ以外は部屋に籠りきりになって、ずっと勉強をしていた。 学校は行っていない。 配られた3年生の範囲の教科書はもうなん往復もしていた。 勉強は嫌いじゃないがいい加減同じところばかりやっていても飽きてくる。 それに隼人は一週間何も食べていなかった。 水だけの生活にも限界がある。 隼人は決心して3000円を握りしめた。 朝、まだ誰も起きていない5時に準備を済ませて家を出た。 押し入れから取り出したランドセルよりもっと大きい登山用のリュックを持ち、そっとドアの鍵を閉めた。 "校門が開いてる、てっきりまだ開いてないと思ってたのに" 小学校の時計はまだ5時半をさしている。 教室につくなりリュックをロッカーに入れて職員室へ向かった。 扉をノックして開け、担任の名前を口にした。 おみ 『3年1組の小見隼人です、大縄いますか』 職員室に居た数人の教師が?という顔をした。隼人は気づいていないが。 奥の方から目当ての先生がこちらに向かってあるいてくる。 「久しぶりだな、小見、」
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