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「偉いわね、優斗は」 父と母、そしてその息子である優斗が家のリビングで夕食を食べながら楽しそうに話している。 どうやら優斗のテスト結果について話しているようだ。 『……っ』 優斗の兄である隼人は、3人を少し離れたソファに座って、羨ましそうに眺めていた。 いつも結果を残しても褒められない隼人とは違い、優斗が何かしらで結果を出すとすぐに周りはそちらへ集まった。 「隼人も褒めてあげて?優斗とても頑張ったの、全国の小学生のなかで10番目に賢いのよ!」 母が嬉しそうに隼人に言い放った。 「そうだな、前より格段に成績が上がってる…まぁ、優斗は俺と似て努力家だからな」 父がそれに賛同する。 "俺の方がすごいのに" 隼人の中で何かが爆発した瞬間だった。 『…だからなんなんだよ…10番なんて努力の内に入らないだろ』 3人を見つめながら独り言のように呟いた。 「なっ、ちょっと隼人…そんな言い方!」 『ぁっ……』 "僕、今なんてこと言ったんだ…!" そう心の中で思っても何故か口は止まらず、ぽかんとした顔をしている優斗の目を隼人は見て淡々と言い放った。 『僕は1位だったけど』 目に見えて優斗の顔が歪んだ。 「はぁ……隼人は元から賢いじゃない、でも優斗は自分の力で成績を残したのよ? 褒めるのは当たり前じゃない。」 酷い物言いを諌める隼人の心の声は消え去った。
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