* 限界クリア *

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* 限界クリア *

*** 学校という狭い檻の中。 スポットライトが当たる人って、ほぼ決まっている。 成績優秀、スポーツ万能、容姿端麗……。 はたまたリーダシップ抜群のカリスマ性。 何かしら秀でているケースが多いのではないだろうか。 そして、狭い檻にも関わらず、 名前を覚えてもらえているか怪しい存在だっているだろう。 ちなみに私は後者。 息を殺して過ごす日々……。 というわけもなく、自らの意思で息を殺して過ごしていた。 だからこそ、苦手だ。 けたたましく鳴り響く着信音は……。 「佐藤ちゃん、ヘルプー!」 マナーモードを忘れていたなあ。 まあ、でも放課後まで一切鳴らなくてよかったよかった。 なんて、のんきに考える私とは対照的。 泣き叫ぶ声がスマホから聞こえてくる。 「あー、はいはい。約束は守ってくださいよー」 「勿論、人払い済だよー!」 通話先の焦りまくりの人物は今をときめく生徒会長。 実行力と決断力で我が校の結束力を高めた彼のカリスマ性は最高潮だ。 ……でも、それは全てかりそめの姿。 私は表立って、矢面に立つことを望まない。 彼は人からの賛辞を前面に受けたい。 そんな両者の利害一致の結果が……今の状況に繋がっている。 息を殺して過ごす生活も、慣れれば楽しい。 わざと平均点を狙って回答を埋める行為も。 敢えて、存在感を消すメイクを行うことも。 だけど、……彼自身、把握していないことが一つある。 「佐藤ちゃん、助けてー」 「ダメ、今日は先約あるから」 私が黒幕として、手を貸しているのは彼だけじゃない。 確かに私は表立って、矢面に立つことを望んでいない。 でもそれは表で握れる特権なんて、限られているからに他ならない。 私にしかできないこと。 それは、黒幕として、あらゆる中核に手を伸ばし、強大な影響力を楽しむことだった。 【Fin.】
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