第1章 馴れ初め

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「シア?ありがとう…大丈夫だった?」  そう言って顔を上げた次の瞬間、そのマリンブルーの目を驚愕で見開きながらレイナード様が再び震え出した。 「シア…大変だ、血だらけじゃないか……」  わたしは、レイナード様のかわいらしいお顔も、白い腕も足も、全て無傷であることに安堵していた。 「大丈夫よ、レイ。こんなことで『王国の盾』であるビルハイム家の子供は死にやしないからっ!」  心配する彼をよそに、わたしは将来の国王陛下を守り通したことを誇らしく思いながら、すくっと立ち上がった。  いや、その矜持を支えにしなければ、わたしとて「え~んっ!こわかったよおぉぉ!痛いよおぉぉ!」と泣き叫んでへたり込んでいたに違いない。  ここでレイナード様が怖がってまた大声をあげようものなら、せっかく引いてくれた吸血コウモリたちを刺激しかねない。  わたしは、空元気な、しかしボリュームは極力抑えてレイナード様を明るく励ましながらどうにか森を抜けたのだった。  
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