第7章 騎士団の体験訓練

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 一体、何人抜きを達成したんだろうか、合間に水分補給や小休憩なら挟んでいるもののさすがに疲れてきて集中力も切れかけている。  もう目を覆い隠していられる状況ではなくて、少し見えやすいように前髪を指でかき分けた。  なのにあいつらときたら「次は俺だ!」「いや、俺にもやらせろ」と、次から次へと挑戦してくる。 「いや、俺が相手になろう」  大きな声が響き、それが誰であるかを認めた全員が「おお!」と声をあげてどよめきはじめた。  それが、今回の体験訓練の指導官のリーダー、レオン・ビルハイムだったからだ。  レオンお兄様ったら、ここで出てきちゃう?  大人げなさすぎない!?  いやいや、戦場では疲れただの大人げないだのという弱音や愚痴など誰も聞いてはくれない。  やってやろうじゃないの。 「いいね、その目」  レオンが不遜な顔で笑う。  前の挑戦者が落としたままになっていた木刀を拾い上げたレオンは、すれ違いざまに上半身を傾けてわたしの耳元でささやいてきた。 「妹じゃなかったら、きっと惚れてる」 「なっ…!」  何を言ってるんだ、この人はっ!  瞬時にして真っ赤になったわたしの様子を見たギャラリーが、何を言われたんだ!?とざわついている。  兄に愛の告白をされましたとバラしてやろうかしら。 「ははっ、どうした。この程度で動揺してるのか?」  正面に立ったレオンが木刀を構えようとしている。  まさか体験の学生相手に本気は出さないだろう。  本気を出されたらレオンにかなう人なんて、騎士団の団員でもひとりもいないはずだ。  威圧感だけで戦意を喪失するほどの圧倒的な格の違いに愕然としてしまうだろう。  乙女の心をおちょくるだなんて、サイテーね!  だったら、お返しよ。  ヘラヘラしたままで勝てると思ったら大間違いですからね!
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