閑話 レオンの恋

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 マリアンヌの手土産のマカロンと、わたしのいびつなチュイールを囲んで4人でのお茶会となった。  母はさりげなく、伯爵家の嫁・騎士の妻になるだなんて無理に決まっていると周囲に反対された過去や、それでも今はとても幸せで父と結婚して本当によかったという身の上話を織り交ぜながら、楽しくその場を盛り上げてくれた。  ガトーショコラもすぐに食べたいところだったけれど、あれは焼き上げてから半日ほど寝かせておいた方が美味しくなるお菓子なので、食べるとしても夕飯後になりそうだった。  マリアンヌをそこまで引き留めたいところではあったけれど、おばあさまが一人で彼女の帰りを待っていることを考えると得策ではない。  そこまで見越してか、母はガトーショコラを小さめの型でふたつ作っていた。  その片方を「おばあさまと一緒に召し上がってね」と持ち帰ってもらうことになった。  昨日支払うと約束していたレッスン料を渡そうとすると、秘伝のガトーショコラのレシピを教えてもらったのだから本来はこっちが支払わないといけないぐらいだと主張して、マリアンヌは頑として受け取ろうとしてくれない。  そして母にまで 「わたしたちはもう友人同士なのだから、そんな金銭のやり取りは無粋よ」 とたしなめられてしまった。  まあ、なんてナイスなまとめ方!  ちゃっかり「友人」になっているだなんて!  こうして、馬車に乗るレオンとマリアンヌを見送った。    レオンには事前に「帰りの馬車の中で絶対に告白しろ」と言ってある。  お母様はわたしの隣で 「これで告白もせずに帰ってきたら、もう家に入れてやらないわ」 と怖いことを言っていた。
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