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宵との邂逅
「あー疲れた、……、……!?」
自主練終わり。目を伏せ体育館の床に大の字で寝転がると、頭上に差しかかる影がひとつ──少しの間を挟み誰かに顔を覗き込まれている事に気付くと、慌てて飛び起きた瞬間、見事に頭をぶつけてしまった。
「い゛っ……」
「っ〜……!」
思わず額を押さえて呻き声を上げるも、石頭な自分よりも相手の方が余程衝撃が大きかったのではないかと思い至れば、急いで額を確認しようとその肩を揺さぶった。少々手荒になってしまったが、そこは目を瞑って欲しいものだ。
「っおい、大丈夫か」
「ヘーキヘーキ。コンタクトがどっか行ったけど」
ぼろ、と右目から大きな涙が溢れる。
その右目は、藍とも紫ともつかない色をしていた。
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