18人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
その腕が、もう
私ん家はその頃めちゃくちゃだったから、親友みたいに「楽しいラブラブなお付き合い」とやらには全然程遠かったと思うのだけれど、家に帰れない時やら帰りたくない時なんかに、部屋に置いてもらえるだけでも助かったし、適当に色んなことを教わったと思う。
先輩に拾われたことも、どういう関係かも、親友が楽しそうに話していたり、知りたがるような「男とのお付き合い」ってやつも、私は何ひとつ、誰にも話さなかった。
そんで、そん時の私が知ったことはたったひとつだけ。
この先輩んとこに居れば、他に居場所がなくてもなんとかなるってこと。
でもまあ、そういうそこそこ忙しい年上の先輩からしたら、私みたいなガキんちょの感傷なんか伝わるわけなんてないわけで。
って言うか、伝わったからと言って、付き合う義務はないわけで。
それはもう、あっさりと。
本当にある日突然、「家の鍵返してもらっていい?」ってそんな感じで。
終ったりする。
最初のコメントを投稿しよう!