その腕が、もう

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その腕が、もう

私は床に脱ぎ捨てたままになっていたTシャツを着て上着を羽織ると、のろのろとジーパンを履いて、そのポケットに突っ込んであった先輩の部屋の鍵を取り出し、キッチンテーブルの上にそっと乗せた。 この部屋には時計がないから、携帯で時間を確認して、まだ放課後じゃなかったら一旦家に帰って制服に着替えてから学校に行こうか、なんて考えつつ、シャワールームから金髪の髪をタオルでガシガシと拭きながら先輩が出てくるのを視界の端で確認する。 親友は、今頃何やってるのかな、なんてどうしてだか親友のことを考えながら携帯を取り出すと未読のメールが数件届いているのがわかる。何件かは適当に遊んだ男の子や女の子からで、母親からは「今日は帰ってきて」なんて言うタイトルで、一番上には親友の名前があった。 時間は昼の10時。今から行けば午後の授業だけ出るか、誰かとサボって帰ることが出来る時間帯だった。
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