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その腕が、もう
でもさ、今回はさ。
行ってやってもいいんだけど、私今、もう親友のとこ以外に行くとこなくなっちゃったから、どうなっちゃうかわかんないんだけど。
それでもいいなら、行ってやってもいいんだけど。
いつもお守りみたいにポケットに入れていた鍵はもうない。
親友におかしなことを口走ったりしてしまわないだろうか、と自分で自分が少し心配になる。
先輩のとこは、私の逃げ場所だった。居場所じゃなかった。
親友に会いたい時の。
親友の家で、親友からキスして抱きしめてもらいながら眠れない時の。
そんな時の、逃げ場所だった。
親友のとこが、本当は居場所だったのかもしれない。
それを壊すくらいなら、逃げ場であるあのシングルベッドにもぐりこんで先輩の熱すぎる、ゴツゴツとした堅い身体に腕をまわしていたって良かった。
私は親友と居られるなら、どこに自分が居たってよかった。
他の居場所、結局見つけらんなかったな、それは多分「子供だから」かもしれないな、なんて思った。
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