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その腕が、もう
ずっと一緒にいたからわかんなかった。
本当はどう思ってるかなんてどうでも良かったはずだった。
たまに触れ合うだけで、時々は別々の身体になって、その繰り返しみたいな関係を好む、そういう、ただの親友みたいな関係だった。
自分だってそうだったはずなのに、どういうわけだか気づかされた。
簡単なことだった。
親友にはじめて夢中になれる彼女が出来た時。
お互い、別々の高校に入ったばかりの頃だった。
たまに会えば照れる仕草や、身に着ける服装なんかもころっと変わっていたりして、髪なんか染めちゃったりして、そんな親友が発する惚気も、首筋につけられてる鬱血の痕も、どういうわけだか気に入らなくて。
そんな時期だったものだから、私は丁度良く声をかけて来た年上の同じ中学に通っていたと言う先輩にほいほいついて行くことにした。
ほら、よくあるじゃない、そんな感じの捨て猫を拾って可愛がるタイプの男だったんだと思う。
けれど、私にとっては、それはそれでその時はありがたいことだった。
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