もふもふなんて嫌い

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もふもふなんて嫌い

連れてこられたのは白くて多きなお城だった。 ここは本当にモフモフの国なのかしら。 道すがら、モフモフした動物なんて1匹たりとも見当たらなかったわ。 みんな人間よ。 「貴方だけ狼なの?」 「……」 「狼なんだよね?」 「……」 「まさか人間なの?」 「……」 私は男の耳を軽く引っ張ってみた。するとスコンと耳つきカチューシャが取れた。 作り物……。しかも、私が考えてたレベルの変装。 「私はモフモフと仲良くできるって聞いて、喜んで来たのだけど。」 「『もふもふ』って何か知らないけど、ここは神獣様がいるだけで、人間の国だ。」 「王子様が神獣でモフモフなの?」 「いや、俺は違う。」 俺? 「…まさか貴方が王子様?」 「そうだ。」 「モフモフ詐欺っ!!」 「何が?」 「だって、モフモフと仲良くなれる国だってきいたから来たのに!!」 「モフモフしてればいいんだろ?どれがいい?」 「なによ、どれがいいって。」 連れてこられた部屋には、沢山の動物の毛皮が並んでいる。 「人間は動物の毛皮まではさすがに食べないから、残り物が沢山あるんだよ。さ、選んでくれたら俺はそれを着ることにする。」 「……いや、違うの。私は動物達と仲良くなりたいの。」 「サラと結婚出来るなんてうれしいよ。」 「しないわよ。人間と結婚なんてっ!」 「えー、モフモフだったらいいって言ったのに。」 モフモフとはなんなの…。 「これね、狼の毛皮。」 王子さまがそれを羽織った。 「で、これはウサギ。」 そう言って白い毛皮を羽織らされた。 「サラは狼に食べられる、うさぎちゃんなんだよ。」 フワフワモフモフの毛皮を着た王子に抱き締められた。 「モフモフって何かしらないけど、サラを捕まえるいい餌にはなったよ。」 「餌…って、モフモフなんて大嫌いよ!」 「じゃあ、人間が好きになったって事で。」 左手をとって、スッと薬指に指輪をはめられた。 「俺と結婚して下さい。」 「一生毛皮を着てくれるならね。」 「狼でいい?」 「それは嫌よ。」 結局私は人間に嫁ぐ事になったのでした。
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