10人が本棚に入れています
本棚に追加
「下ろしてーーっ!!」
嫌な予感は的中!
私はアサヒに抱えられて、空を飛んでいる。
「どうして翼がないのに空を飛べるのよ!!」
「うーん、どうしてって言われても。」
「自分の体の事でしょう。解らないの?」
「サラは『どうして爪や髪が伸びるの?』って聞かれたら答えられる?『爪が伸びないようにして』って言われたら、出来る?」
「……出来ないわ。」
「俺も同じ。生まれつき飛べるから、何故って聞かれても飛べるからとしか言えない。原理なんて解らない。」
「そっか……。この国の人は不思議なのね。」
「謎が多くてカッコいい?」
「格好よくはないけど、面白いと思う。」
「うーん、面白いよりカッコいいの方が嬉しいけど、サラが興味を持ってくれるならどっちでもいいか。」
この王子と会話をしていると、何だか調子狂うわ。でも、『貴族の普通』を要求されないのはラクなのよね。
『侯爵令嬢だから』『貴族だから』そんな事ばかり言って、やる事を全て制限された。6才の時に招待された王子の誕生日のパーティーは、仲良しの演技をしているだけの子の集まりだった。
こんな汚いモノと仲良くできないと思ったから、家族以外との接触は絶った。
そして、最終的に家族に厄介者扱いされて、この王子と結婚…。
「サラ、どしたの?変な顔して。」
「変な顔はしてないわよ。」
「じゃあ、可愛い顔。」
「可愛くない。」
「我が儘だなぁ」
変な王子だわ。
思った事を言ってくれるところは、嫌いではないけどね。
最初のコメントを投稿しよう!