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愛し合う
お腹をしばらく強く強く揉んで、時々指先全部で抉るようにしてゴリゴリと腸を刺激する。その間中、苦痛に歪む表情をし、我慢しているフリをして、時々うめき声を上げ、お客さんに本当のことは何一つバレないように気をつける。
なんだかそうしていたら、少しずつ便意を感じ始める。
しおりが思わず腕時計を見ると、浣腸二つを体内に入れてからは30分、三つ目を入れてからは5分ほどの時間が経っていることに気づく。
そして、プレイの終了時間までは、もう残り30分程しか残されていないと言うことにも。
「そろそろ、トイレに、行ってもいいですか?」
「ふふ、ダメだよ、って言ったらどうする?」
「…それでも、いいですよ」
「しおりちゃんは、本当にいい子だなあ」
このお客さんが本当に見たいものは、きっとしおりのお漏らしなのだろうと思う。
そう想像できてしまう。
けれど、ラブホテルとは言えさすがにホテルの一室を便で汚すのは気が引ける。
それに、そんなことをお願いされてしまったら、余計に「出来るかな」と焦ってせっかくやって来た便意が引っ込んでしまうに違いない。
しおりはふかふかのベッドに手のひらを埋めると、ゆっくりと体を起こす。
そしてショーツを上げて、ストッキングは脱ぐ。
それからゆっくりとお客さんの座っている方のベッドの脇へと移動すると、その手を取ってトイレの方へと行きましょう、と言う意味で目くばせする。お客さんは照れくさそうにしおりに繋がれた自分の手をじっと見て、それから立ち上がった。
ホテルのトイレは風呂とは別だった。
洗面台のある部屋に入ると、大きな湯舟のある方と反対方向にトイレのドアがあった。そこまで二人で手を繋いでやってくると、しおりはトイレのドアを開ける。
お腹は十分に痛くなっていたし、便意もちゃんとあった。
もしかしたら浣腸のグリセリンが垂れて来てしまっているかもしれないな、と考えると少しばかり不快な気分になる。
替えのショーツをプレイ用のバックに入れてくるのを忘れてしまったな、帰りはオムツかな、なんてことを考えながら、それでも浣腸の効果は結構あったようで、すぐにでも排泄は出来そうだった。
括約筋を精一杯ギュッと内側へとひっぱりながら、やっとで色々と困難で難関な道を潜り抜け、なんとか私は辿り着いたのだ。
トイレへ。
「入りますね」
「うん、しおりちゃん、僕はここに座ってるから」
「はい、わかりました」
「思いっきり、気持ちよくなってね」
「ありがとう…」
「ちゃんと見てるからね」
「うれしい」
そんなわけはないのだが、しおりはこういうプレイが好きだと言うことになっている。
こう言わなければおかしい。
内心では自分の態度に突っ込みを入れまくりながら、なんとかそう言うM嬢を演じ続ける。
上手く出来ている自信は全くなかったけれど、このお客さんからしたら「今は愛し合っている真っ最中」のはずなので、多少のことは誤魔化されてくれるに違いない、と、思いたい。
ドアをあけ放ったままのトイレの個室に入ると、ショーツを足首まで下ろして水洗トイレの蓋を開き、すぐに便座に腰掛ける。向かい側にはお客さんが床に正座している。
しおりのことを、幸せそうな顔をして見ていた。
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