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第1話~本性~
「ねぇ。優生架、もう部活決めた?」
私、東野優生架は、
隣の席の女の子に声をかけられた。
声をかけてきた女の子は、凄く美人な子だ。名前は、歩名町愛由という子だ。名前を聞いた時、見覚えがあった。私が初めてバレーというものを教えた子だ。愛由は覚えていないらしい。
私は明林学校に通い出した中学1年生だ。
愛由の質問に私は答えた。
「決めたよ」
するとまた、質問された。
「何部?」
「バレー部」
私は簡潔に答えた。
すると、
「一緒だー」
私は驚くわけでもないけれど、そうなんだと相づちをうった。
その日の放課後、初めての部活だ。
まずは自己紹介。順番に自己紹介は進んでいき、私の番が来た。
「1年東野優生架です。よろしくお願いします。」
よろしくーといくつかの先輩から声が返ってくる。
そして、先輩とペアを組んでパス練習が始まった。私は、彩乃先輩とペアを組んだ。
自己紹介の時に経験者だとは言っていない。なぜなら、知られたくないからだ。ただそれだけの理由だ。経験者だと知られれば、スタメンに入る確率は高くなる。それに応じて、同級生からの視線が酷くなる。だから、話さなかった。
そんな事を考えながら、パスをしていたが経験者である私が、といっても小学生のミニチームで全国に行って優勝した私がミスをするわけもないのだが、あえてミスをした。もちろんわざとだ。
「あ、すいません!」
彩乃先輩は優しく、
「大丈夫だよ~てかここまでラリー続くのが凄いよ!」
と初心者に向けては嬉しいほどの励ましの言葉を私にもくれた。
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