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「そういうことなので。お世話になりました。」
私が最後であろう言葉を口にしたとき、彩乃先輩が声を出した。
「まって!あなたの言う、監督って誰?その方は今の監督やコーチよりも私たちを強くしてくれる?」
意外な質問だった。まさか、今の監督やコーチを侮辱する形になるかもしれないのに…
私はそれに対して答えた。
「きっと強くなりますよ。ただ、皆さんの根性があって諦めが悪いのであれば。ですけどね」
少し嫌味混じりの事を言った。
なぜなら、今嫌われればそれで楽だから。
これが私の本性。
でも、ほんの一部の私の本性。
―後日―
彩乃先輩が休み時間に声をかけてきた。
「優生架ちゃん。ちょっといい?」
その声に気づいた私は返事をした。
「はい。何でしょうか?」
屋上に出た。先生にも許可をもらって授業に遅れても問題ないらしい。
「優生架ちゃん。」
「はい?」
「何で急に部活を辞めるなんて言い出したの?それも2日目で」
先輩の質問に答えた。
「昨日も言ったじゃないですか。ここの練習は甘いんです。」
先輩は疑問を持ったような表情だった。
「そんなに、甘い?」
「甘いです。とても。私がこんなこと言えるような立場ではないですが。」
私の反省に気づいたのか彩乃先輩が答えた。
「ちゃんとそう言うことを言ってくれる子って少ないんだよね。だから、ありがとうね」
訳のわからないお礼のような言葉だった。
そして、先輩は続けた。
「そのあなたが言う監督という方の練習を私たちにも見せてくれない?」
彩乃先輩は強くなろうとしていると分かった。
「監督に聞いてみますね。」
彩乃先輩は喜んだような表情をした。
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