雨、おそらく雨

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「いや、もっと、パッと、こう、金銀財宝とか、そんなのを出せたりはしないんですか?」  さすがに汗水垂らして稼いだお金を貰うのは気が引ける。  僕はてっきり、魔法のように一瞬で目の前にお金を出せるものだと思っていた。  ――それは無理です。私ができる範疇ではありません。私ができるのは、何らかの手段でお金を稼ぐことくらいです。  ……であれば、わりと役に立たない。  別に僕は貢いでほしいわけではないのだ。  可能な限り、パッと、楽して儲けたい。  意外と狭い彼の範疇に少しガッカリもしたが、それでも何かを叶えてくれるのであれば、有効活用したいと思うのはどうしようもなかった。  仕方がないので、僕は別の願いを考える。 「であれば、有名人になりたいのですが、どうでしょう?」  ――少し、時間が掛かります。 「時間?」  ――無手(むて)から著名人になるには、それ相当の努力と才能とタイミングが必要だからです。  同じような答えが返ってきた。
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