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僕は少し考える。
アレはダメ、コレもダメ。
何をするにも時間が掛かる。
そんな事は当たり前だし、時間や労力を掛けるのであれば、自力でも何とかなるかもしれないじゃないか。
段々と苛立ってきた。
せっかく上手い話が舞い込んだと思ったのに、意外と何も出来ない。
一体どうしろと言うのだろうか。
しかし、一体彼はどの程度まで叶えることができるのだろう。
僕は少し探ってみることにした。
「じゃあもう、妥協します。いや、例えば、なんですが……」
――はい、どうぞ。
「新しい背広が欲しいのですが、このくらいなら如何でしょう?」
このくらいなら可能だろう、というラインと、叶えてもらって嬉しいギリギリのラインを攻めてみた。
――少し、時間が掛かります。
……なんなんだよ、もう。
「あの、ダメですか、3万円くらいのでいいのですが」
――そうですか。私がスーツを作ってお渡ししようと思ったのですが、市販品で良ければすぐにでも。
出来るんじゃないか。
――3万円ください。買ってきます。
……なんなんだコイツはもう本当に。
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