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プロローグ
「林田会議の資料できてるか~?」
「はいできています」
「林田先輩~これでいいですか?御客様に渡す設計図」
「いいわねーこれでいきましょう。会議が終わったら私一人で御客様に挨拶に行きます」
「先輩~僕も行きます」
「そのお客様の家は遠いから
会社の前のタクシー乗り場に並んでタクシーで
行かなければならないの。今度、電車の時に行きましょう」
「先輩~何でタクシーだと一人で行くんですか~?僕も勉強の為に一緒に行きたいです」
「とにかくタクシーの時は駄目なの。もっと一人前になったらタクシーで行きましょう。新人がタクシーなんて贅沢よ。じゃあ私~会議があるから」
バタン
林田留美子は会社のドアを閉めて外にある会議室に向かった。
「最近~林田先輩なんか生き生きしてますね」
「私もそう思うんだ。男でもできたかな?タクシー運転手の~」
「専務、セクハラですよ。今の時代」
「悪い悪い確かにタクシーは林田さんみたいに
プロジェクトリーダーを任されるくらいにならないとタクシーなんて勿体無い。
君達も林田さんと一緒にタクシーに乗れるくらいに出世しないとね。
それにしても林田さんは生き生きしてるな~三ヶ月前はいつも疲れ切ってぐったりしていたのにな~。
部下と上司の間に挟まれて私のところにプロジェクトリーダーは私には無理です。
他に適任者は必ずいます。
だから私はプロジェクトリーダーを降ります!
と言ってたのになーやっと慣れてきたのかな?
よかった。よかった~これでうちの会社も安泰だよ」
専務はそう言って笑った。
林田留美子がこうやって楽しく笑顔で働けるようになったのは三ヶ月前に留美子が出会った
レンタルタクシーのお蔭だった。
留美子はそのタクシーを「幸せを運ぶレンタルタクシー」と勝手に呼んでいたのだ。
今日も林田留美子は会議の後タクシー乗り場で幸せを運ぶレンタルタクシーに乗れることを願っていた
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