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「クオ……おい、うるさいぞクオ! 一回黙れ! 警報機器も止めろ、目がチカチカする!」
『目を覚ましましたか海斗。よかった』
「よくねえよ。死んだほうがマシって気分だ。あーもう、くそったれ、AIのお澄まし声で目を覚ますハメになるなんてのは……」
美女の囁きとまで言わないにせよ、せめて起き抜けに聞かされるなら、朝鳥の鳴き声ぐらいにしてほしい。
エックスに搭載されたナビゲーター兼戦闘補助AI、クオは有能だが、だいたいいつもウザい。
そのウザい声で、毎度毎回面倒な厄ネタばかり告げられるせいで、海斗は電子機械類にうんざり気味だ。
ロボット乗りのくせに――と自分で突っ込みながら、続くクオの言葉を聞いた。
『非常事態です、海斗。つまり……非常にまずい状況です』
「なんで2回言った? 内容を言え、内容を」
『落ちています』
「ああん?」
正面のコンソールをやぶ睨みして、聞き返す。
別にAIの声はそこから響いているのではないが、ともかくクオが告げる。
『本機、特殊人型機動兵器エックスは現在、高高度から自由落下しています』
「自由……なんだ、墜落だと? なんで?」
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