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『飛べないからですかね』
「当たり前だろ、ボケてる場合か! どうして落ちてるのか聞いてるんだよ俺はァ!」
エックスは飛行動力も、単体での空中航行機能も備えていない。
それは仕方ないにせよ、そもそも飛ばないのなら、空から落ちるはずだってないのだが。
しかし、今は細かいことを考えるのはなしだ。
現状を把握した瞬間に、腹の奥に感じる重い振動と衝撃を自覚する。
そんな錯覚。
無重力めいた落下感。
それを意地できっぱり無視して声を鋭く、海斗は叫んだ。
「状況は!」
『悪いです。直前の戦闘行動で機体各部が損壊、伝達系に故障と異常多数、出力は60%まで低下。特に各センサー・モニターの破損障害が激しく、詳細不明ですが、分かる範囲では地表まで200――』
「全スラスター吹かせっ、地面とキスするまでの時間を稼ぐんだよ!」
『やっていますが、姿勢制御だけでやっとで』
「もっと気張りやがれポンコツ! 気合い入れろー!」
無茶振りしつつ、海斗自身も操縦席内の各モニターをチェックする。
クオが言うように半分の画面がブラックアウト、残り半分も灰色のノイズだらけで、状況はさっぱり。
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