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「……美穂さん……、それ、反則……」
そんなことを言いながら、私から顔を反らせ、レモンサワーを口にする。
「反則?何?私、何かした?」
梅サワーは口にしたけど、他に何かした覚えはない。
「……誰にでもさっきみたいな可愛い顔するんですか?」
「はい…?」
反則と可愛い顔という言葉が結びつかない。
「……無自覚かぁ…。無自覚ほどたちが悪いって言うしなぁ…。」
そう言って、またもやレモンサワーを口にする優人くん。
「たちが悪い?」
ますますもってわからない。
「あー、スミマセン。俺が悪かったです。……てか、今は恋人いませんでしたよね?今までの恋人さんに無自覚とか言われたことないんですか?」
「むぐっ!?」
優人くんのその言葉に、口にした唐揚げをのどに詰めてしまいそうになる。
「みっ美穂さん!?」
のどに詰めないよう、胸をどんどんと叩いてごっくん。
……あー、のどに違和感……
それよりも、優人くんの質問……。
嘘ついてもバレるだろうし……
「……生まれてこの方、恋人なんて……」
ポツリと小さく呟いたけど……
「あの……えと……、すみません…。」
しっかり聞き取れたようで、謝られましたよ。
……謝んないでよ……
……謝られたら、余計に情けなくなるじゃない……。
私は衝動的に手にしていた梅サワーを口へもっていき、グビッと一気に残りを胃へ流し込んだ。
「美穂さんっ!?そんな飲み方したら……」
「……恋人いない歴イコール年齢ですよ。今まで好きになった人は何人かいるよ?告白だってしたことあるよ?『ちっちゃい子が好きなんだ』『自分より強い女はちょっと……』そんな理由で断られましたさ。恋愛もしたいし、恋人だって欲しいけど……、私みたいな強くてデカイ女がいいなんて、そんな人、いないの。」
……はぁ…。
優人くん相手に何言ってるんだか。
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