弱いあなたに恋をする

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……さすがに二十五歳。 『彼氏ができた』『結婚した』『子供ができた』 久しぶりな友人の連絡なんてコレばっか。 「美穂さん、可愛いのに。見る目ない人ばかりだったんだ。」 ジッと私を見ながら口にする優人くん。 「……可愛いなんて……。デカイし、可愛くないし、男より強いし……」 ……自分で言ってて悲しくなるよ……。 「美穂さん、デカくないじゃん。俺よりは小さいし、ちゃんとしっかりバッチリ可愛い。」 「………」 お世辞なんて……いらないよ……。 「……確かにその辺の男より強いと思うけど……、俺よりも強いだろうけど……」 ですよね……。 自慢じゃないけど、黒帯三段。 自惚れでも何でもなく、私、強いもん……。 強くなりたくて空手を始めたけど…… 女の子としては………ねぇ…。 普通の男の人って、守ってあげたくなるような女の子がいいんでしょ? ………私、そんな女の子じゃないもん………。 「けど、それがどうしたっていうんです?どうってことないでしょ。」 優人くんは、きっぱりどうってことないと言いきった。 「え…?」 ……それ、本心? 「まだまだ俺の方が弱いけど、もう少し待って。すぐに追いついて、追い越して、美穂さんより強くなる。強くなって、俺が美穂さんを守るから。美穂さんに見合う男になるから。」 優人くんの言葉に、かぁーっと体温が上がる。 顔がかっかと熱くなる。 『守るから』 『見合う男になる』 そんなこと、初めて言われた。 ……私、守ってもらえるの…? 胸がドキン! 突然大きく高鳴った。 「う…、うん…?待ってる…。」 私のぎこちない返事に、優人くんは照れたような、はにかんだ微笑を浮かべた。 なに…? 胸がドキドキと…… この落ち着かない気持ちは……なに? 何か、温かいものが、確実に心の中に芽生えた。 ぽっと芽生えた初めての感情。 この芽生えた感情が、『恋心』だと気づくのは、もう少し彼が強くなってから……。 END
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