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思えば、優大はいつも当たり前みたいに私のそばにいてくれて、苦しいときも楽しいときも全部一緒に過ごした。
――頑張らなくていいよ。
そうだ、優大は私の幸せを願ってくれていたのに、私が優大の幸せを願わなくてどうする――。
「もしもし、どうした?」
電話にツーコールで応答した優大が低い声を出す。
「あのさ、ありがとう」
この気持ちを教えてくれてありがとう。もう一度、心の中でつぶやく。
「え?」
「そんで、優大は絶対幸せになる」
「急にどうした? 酔っ払ってる?」
いつもの調子で呆れ口調で言ってくる優大に、違うってば、と答えつつ
「じゃあ、また明日」
明るく言ってから電話を切る。
突然の電話に「わけわかんねーな」と笑って首を傾げる優大の様子が目に浮かぶ。けれど、今夜、「ありがとう」を伝えないままではきっと後悔する、そう思った。
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