れいぞうこ。

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れいぞうこ。

 レンタルリースにて、オフィスで使う機械を借りてくるということはままあることである。  工場で使う大型の印刷機ならともかく、会社で使うプリンター程度ならば購入せずともレンタルで充分事足りるからだ。それは時々キッチンで使う家電程度も然りである。  そんなわけで、小さな印刷会社である弊社にもついに冷蔵庫がやってきたわけだが。 「どうだ、凄いだろう!」 「……社長」  私は呆れて、どどーんと胸を張るちっさいオジさん――もとい社長を見た。 「うちのオフィスの広さと従業員数考えてます?何でこんなでっかい冷蔵庫借りちゃったんですか」  家具レンタルのお店からやってきたのは、人一人まるっとは入れそうな妙にでっかい冷蔵庫である。色が黒いせいで、妙に圧迫感がある。小さなオフィスだ。壁際にどうにか設置できたのはいいが、おかげさまでキッチンがものすごく狭くなってしょうがない。  これではカップ麺を作るのさえ一苦労ではないか。というか、元々その場所にあった食器棚が事務室の中に移動してしまったので、余計手狭になってしまっている。 「なんとなくカッコ良いと思ったからさー」 「ええええ」  思いつきでいろんな事業を始めようとしたり(そして副社長とか常務に止められる)、仕事のやり方を変えて来たり、とにかく困ったレベルでの気まぐれが多い人ではあったが。今回は誰も止めることができずに、一人でリース契約を完了させてしまったということらしかった。  確かに、キッチンに冷蔵庫がない状況はいい加減なんとかしてほしいとは思っていたが、うちの社の規模から考えるにもう少し小さなもので良かったのではなかろうか。 「いいじゃないか、業績も順調なんだし。そのうちお前達の給料も上げてやれるだろうから、営業のみんなにはこれからもバンバン新規契約取って貰わないとなー!あ、金田さんもこれからも事務と庶務よりしく!とりあえず正午までにファックス頼むよー」  冷蔵庫について、ツッコミを入れている暇はないようだった。ばっさー、と私の机の上に置かれたのは大量の書類の山である。私は頭を抱えた。 「いい加減メールに切り替えてくださいよ!!」  何で令和のご時世に、こんな大量のFAX業務が入るんだろう。しかも、今日の午後までに全部チェックして流せ、だなんて。この会社も取引先も、体質が古すぎやしないだろうか。ペーパーレスは何処行った。
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