222人が本棚に入れています
本棚に追加
ラスボス?
陵を振り切った翌日、受付から「R&G取締役の流川様がお見えです」と連絡が入った。
「流川?」
「流川玲子様です」
流川の苗字とはいえ、母の名前ではない・・・・となると、誰?R&G取締役の女性。
そこで思い当たる人が一人いたことを思い出す。
義父の兄嫁だ・・・・つまりは陵の伯母。多分そうかな?恐らく間違いないか。お祖母ちゃんの喪中はがきにそんな名前を見たのを思い出す。でも、そんな人がなんで私に会いに来る?ネットで検索すれば、顔写真まで出てきた。間違いない、告別式で会った女性だ。
きっと、この訪問は陵関連以外にないだろう。それもR&Gの取締役として訪問されては、今の私の会社でのポジションを考えれば、無下に断るわけにはいかないんだろうな。
「私の方でお迎えにあがります」
そう受付の内線に答えて、スケジュールのアプリに接客と入力して席を立った。
受付に着けば、やはり告別式に陵の席の隣にいた女性がいた。
スーツを着慣れた穏やかそうに見えるけど、ちょっと冷たそうな雰囲気もある小柄な女性。彼女はかなり高いヒールを履いていたけど、低めのヒールを履いたほぼ平均身長の私と並べば、ほぼ同じ高さ。
「不破野です」
「少しお時間いいかしら?陵のことで」
ですよねぇ・・・・陵から逃げていたら、もっと大きな敵にみつかってしまった感じだ。待ったなしか。
「このビルの下にあるカフェでもいいですか?まだ仕事が残っておりまして、30分くらいしかありませんが」
「結構です。15分もあれば十分です」
溜息を無理やり飲み下して、二人並んでエレベーターに乗りこむ。
エレベーター内は無言のまま。
カフェについてウェイターさんに席に案内され、二人ともコーヒーを頼む。
「単刀直入に言います。陵とは別れて下さらない?」
ほら、きた。それも核心からきたな。
最初のコメントを投稿しよう!