海外赴任のお話を頂きました

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海外赴任のお話を頂きました

「別れるもなにも、付き合ってませんし、陵は弟ですし」 「あなたはそのつもりでもね、陵はあなたのこと、とっても好きみたいね。結婚したいそうよ」 結婚したい?ちょとだけ嬉しくなりそうだったけど、その気持ちを抑え込んだ。 「私にそのつもりはないので・・・・」 陵が年齢の釣り合いそうな女性と歩いているだけで、あれだけ動揺したんだから、やっぱり、これ以上深入りはしちゃいけないんだ。傷つくのは自分なんだからと言い聞かせる。冷静に考えろ。エキゾチックビューティーの彼女と私、陵にお似合いなのは自明だ。 「実はね、陵には私の姪っ子と結婚してもらって、流川の会社を継いでもらいたいと思ってるの。てっきり、二人は今も付き合っているんだと思っていたのに。」 流川玲子さんの姪っ子?もしかして陵とこの前一緒にいた女性だろうか? そう言われれば、目の前の彼女と目元が少し似ているような気もしてきた。 今も付き合ってる?そうか、だからあんなに親し気な雰囲気だったのか。そんな人がいるなら、なんで私にそんな思わせぶりなことをする必要があった? ただの気まぐれ?それとも、つなぎかなにか? 「そうですか」 私の声はほぼ普通通りでホッとする。 「あなたにその気がないのなら、それはそれでよかったわ。だったら、話が早いわ。とりあえず、少しの間、陵の前から消えてもらえないかしら?陵の気持ちを覚ますためにも」 「消える?」 「1年でいいわ。その間に美鈴、私の姪っ子の名前ね、美鈴に陵を落とさせます。あなたが近くにいなければ、確率もあがるでしょ?陵はとてもあなたのことを好きみたいだから、こちらとしても無理強いは出来ないことくらい分かってるの。あんまり強く言うと、ウチの会社に来てくれないって言われちゃったから」 状況を分析するに、陵は私と結婚したいくらい好きで、無理に別れさせようとすると、伯父さんの会社に行かないと言っている。でもこの玲子さんは、陵には自分の姪っ子の美鈴嬢と結婚して、会社を継いで欲しいと・・・・ 陵の私への気持ちは本当だったと思っていいのか? 何を信じればいい?でも、もう傷つくのはイヤだ。 「陵には昔から目をかけてきたし、実力もある子だというのは分かってる。手放すには惜しいのよ。だから、あなたに消えて欲しい」 「消えろといきなり言われても、私にも仕事があるので」 お前は邪魔だから、どっか行けって言われても、今の仕事を手放すのは惜しい気がするし、次を見つけなきゃいけなくなる。 いくらなんでも一方的すぎないか?
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