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「もう、いきなり、いろいろ何なのよ?」
もう少し年上の余裕をかませないものなのか、私。
「顔、赤いよ、出帆」
「うるさい」
状況がどう考えても私の方にアゲインストで。
「出帆?」
「うるさいって言ってるでしょ」
どうしていいのか思考停止中の私は地団太でも踏みたい気分だった。そんな私に、陵が少しだけ近づいた。彼は躊躇いがちに、私の肩に優しく肩を回すと、柔らかくハグしてくる。
「I love you, Izuho」
「はい?」
また幻聴ですか?この流れでそれはないよね?
「さっさと結婚しようね」
「結婚?」
「僕の扶養家族になったほうが、いろいろ便利らしいよ。R&Gの福利厚生、侮れないらしいし」
「誰が陵の扶養なんかに」
「だって、出帆、今、無職でしょ?まぁ、将来は俺が出帆の扶養になるっていうのもありだけどね」
「今は無職だけど、一時的に学生に戻っただけだし」
「素直じゃないなぁ。俺はちなみにR&G所属になってるよ。結婚は書類上のことだと思えばいいだけだし。まぁ、こっちに来る前、式場を押さえておこうと思ったんだけど、一応、出帆の希望も聞いた方がいいかなって、それは諦めた」
「さっきから何言ってるのよ」
もう私はどうしていいのか分からなくなっていた。
全部が全部陵のペースだ。
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