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その後、帰宅した俺のスマホに北からメールだ。
『エルス親父さんは俺でも良いってさ』
素直じゃ無いやつ。エルス父さんはきっと北でも良いじゃなくて北が良いだろうに。
「さて、あとは父ちゃんか」
もう晩酌も終わって書斎に戻ってる頃かな、行ってみるか。
俺は婚姻届を持って父ちゃん宅に向かった。
リビングの台所では母ちゃんとばあちゃんが明日の朝食の仕込みだ。俺はばあちゃんにも用事があるんだけどそれは後だな、その側を通って父ちゃんの書斎に着く。
「おう、入れ」
いつものノックにいつもの返事、安心してそのドアを開ける。
「父ちゃん、これをお願いします」
ファイルから婚姻届を取り出し、父ちゃんの机の上に広げる。
「ああ、喜んで」
父ちゃんが笑った。幼い頃からずっと見ていた家族にだけ見せる優しい笑顔で。
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