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あらかた片付いた後、北も一緒に晩飯となった。
夕食は蕎麦、一応引越し蕎麦のつもりらしいのが母ちゃんとばあちゃんだな。いい匂いは麺つゆだったか。
ただ、天ぷら各種食べ放題のおまけ付きだが。
「北くん、悠里ちゃんの分は持って帰りなさい。もう詰めてあるからね」
「はい、ありがとうございます。いつもすいません」
「何言っちゃってるの」
ばあちゃんに豪快に笑い飛ばされてるし。本当に何言ってるんだか、思いっきり今更だ。
「あ、そうだ。今日の田代先輩んちの田植えに小杉先生の一家も来てたよ」
これは報告しないとさ。父ちゃんも小杉先生には暫く会ってないらしいし。
「一家?」
「うん、前に聞いた男の子も一緒だった。とても仲が良い…ってより、小杉先生がすっかり親バカになってて瑞穂さんが笑ってた」
「そうか、幸せそうならそれで良い」
父ちゃんがホッとした表情だ。きっと気になっていたからね。
「あのね、お父ちゃん!ぼく、充希くんと仲良くなったんだよ。僕のこと真也お兄ちゃんって呼んでてね、ずっと一緒に田植えしたの!」
楽しそうに父ちゃんにそれを説明する真也だった。
「ああ、そうだったな。充希だったか、あれから4年は経っていたな」
学校行事でわざわざ父ちゃんが支援学校に行く機会は余り無い。いいとこ父親参観くらい、だいたい身内だとバレたら小杉先生が真也の担任を外されてしまうからな。例え会えてもじっくり話す事はない。
「今度また一緒に遊ぶ約束をしたんだ。お父ちゃん、充希くんとお家で遊んでいい?」
「ああ、勿論良いぞ。いつでも連れておいで」
父ちゃんのその言葉に大喜びの真也だった。きっと真也は学校に行ったら、それを嬉しそうに小杉先生に報告するんだろうな。
こっそり言うようには言っておこう、大人の事情だ。
けどやっぱり俺の親父は凄いや、その大きな心と優しさにはまだまだ暫くは追いつけそうにない。
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