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始発の東京行きに乗り込み、列車の窓から改札を見るとまだ父ちゃんが立っていた。
「行ってきます」
その姿に小さく呟く。
程なく発車した車窓の向こうの父ちゃんが、あっという間に見えなくなった。
列車は田植えが終わったばかりの田園地帯を抜けて走っていく。間もなくトンネルを抜けると、俺が通っていた高校が見えてくる。
この地元に俺は大学卒業後に帰ってくる。
何も無いと言われる田舎だけど、ここには俺の大切なものが沢山ある。
それは家族だったり友達だったり、数え切れない程の大切な思い出だったり。
その大事な人達を、場所を護るために俺は必ず帰ってくる。
ここが俺の魂が還る場所なのだ。
終
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