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部屋にいたらにゃん太も猫鍋ベッドに戻ってきた。最近は美音がいないからリビングのケージで寝ていたみたいだけど、俺が帰ってきたからサービスのつもりかな。
しばらく部屋でのんびりした後に風呂に入った。
『私も早くぴーちゃんに会いたいわ、もっとご飯をしっかり食べないと』
美音の言葉を思い出す。全くだ、俺も美音がここにいないとこんなにつまらない。
「父ちゃん、俺」
いつものように書斎のドアをノックする、返事を待ってドアを開けた。
「おう、これだぞ婚姻届は」
小さな応接セットのところに父ちゃんがいた、クリアファイルに入ったその書面を持ち上げている。
父ちゃんの前に座る俺。これが婚姻届か、初めて見た…当たり前か。
「結婚の証人が要るんだね、二人か」
「ああ、誰にするんだ?」
誰って…はて?
「ひとりは北で良いかな」
あんな朴念仁でも一応親友だ。
「で良いって。ひどいな、おい」
父ちゃんが苦笑。いや、他に思いつかないし。
これ、俺の結婚に対する責任者だろ。ついでに責任を背負わせてやろう。あいつは責任感強いから、早死しないようにやらせたれ。
「もうひとりは父ちゃんで」
「俺か?美音に相談しないのか?」
「うん」
父親二人分だ、美音はきっと反対しない。
「分かった、あとで持って来い」
俺と美音が署名した後でだね。
「提出する日付は決まってるのか?ドタバタだからな」
「五月五日」
さっき美音と話して決めた。美音にはその日と決めた理由があった。
「子供の日か、良いな。印象に残る」
でしょ。
俺は書斎を出て自分の部屋に戻った。
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