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「おう、コーキ! お前老けたなぁ! おっさんじゃん!」
ニッシシとイタズラ小僧のような笑顔を浮かべる少年──いや、ユーゲンさんに駆け寄りその小さな体をギュッと抱きしめる。
「ははっ、本当にユーゲンさんだ……っ! そのデリカシーのない生意気な口振りに圧倒的なオスガキ感、それに緊張感がまるでないマヌケ面っ!」
「お前の口の悪さが相変わらず絶好調で逆に安心する~!」
「……それにしてもユーゲンさん、」
一旦離れてまじまじとユーゲンさんの姿を見つめる。するとユーゲンさんは得意気にフフンと鼻を鳴らす。
「どーだ、現役男子高校生のピチピチボディは! まぁいずれ前みたいなイケメン大人男子になってやるからな★」
「いや、ぶっちゃけ前とガキっぽいところはあんまり変わってないですし……え? 前は自分のことイケメン大人男子って思ってたんっスか? 身の程知らず過ぎて草」
「んぎぃいぃいぃいぃ!! この腹立たしい感じ、懐かしいぃいぃい!!」
「ユーゲンさん、声デカいっス」
「あ、そうだ。今はオレの声ってフツーに聞こえるんだったわ」
ヤバいヤバいと両手で口を押さえるユーゲンさん。……それってもしかして。
「ユーゲンさん、生まれ変わったってことですか?」
それならば彼が学生服を着ていることも色々納得出来てしまう。
「ああ、そうだ。しかも前の記憶を持ったままな。ほらアレだ、強くてニューゲームってやつ!」
「……それが適切な表現なのかはよく分かんないっスけど、そんなことあるんですね」
今の彼と昔の彼、顔立ちや声なんか別人といっていいほど全く違う。それでもこの目の前の人はどうしようもなくユーゲンさんだ。
「んー。オレも生まれ変わりってのが普通なのかどーかは知らねーけどさ、オレはコーキが好きだ。だからまたこうして会いに来られた。それでいーんじゃねぇの?」
……ああ本当に、ユーゲンさんだなぁ。
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