10話「ワケあり物件で恋をしよう」

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「おう、コーキ! お前老けたなぁ! おっさんじゃん!」  ニッシシとイタズラ小僧のような笑顔を浮かべる少年──いや、ユーゲンさんに駆け寄りその小さな体をギュッと抱きしめる。 「ははっ、本当にユーゲンさんだ……っ! そのデリカシーのない生意気な口振りに圧倒的なオスガキ感、それに緊張感がまるでないマヌケ面っ!」 「お前の口の悪さが相変わらず絶好調で逆に安心する~!」 「……それにしてもユーゲンさん、」  一旦離れてまじまじとユーゲンさんの姿を見つめる。するとユーゲンさんは得意気にフフンと鼻を鳴らす。 「どーだ、現役男子高校生のピチピチボディは! まぁいずれ前みたいなイケメン大人男子になってやるからな★」 「いや、ぶっちゃけ前とガキっぽいところはあんまり変わってないですし……え? 前は自分のことイケメン大人男子って思ってたんっスか? 身の程知らず過ぎて草」 「んぎぃいぃいぃいぃ!! この腹立たしい感じ、懐かしいぃいぃい!!」 「ユーゲンさん、声デカいっス」 「あ、そうだ。今はオレの声ってフツーに聞こえるんだったわ」  ヤバいヤバいと両手で口を押さえるユーゲンさん。……それってもしかして。 「ユーゲンさん、ってことですか?」  それならば彼が学生服を着ていることも色々納得出来てしまう。 「ああ、そうだ。しかも前の記憶を持ったままな。ほらアレだ、強くてニューゲームってやつ!」 「……それが適切な表現なのかはよく分かんないっスけど、そんなことあるんですね」  今の彼と昔の彼、顔立ちや声なんか別人といっていいほど全く違う。それでもこの目の前の人はどうしようもなくユーゲンさんだ。 「んー。オレも生まれ変わりってのが普通なのかどーかは知らねーけどさ、オレはコーキが好きだ。だからまたこうして会いに来られた。それでいーんじゃねぇの?」  ……ああ本当に、ユーゲンさんだなぁ。
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