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「マジどーいう確率でこの名前になるんだよって話だよなー。ちなみにオレの家でのあだ名は“コウちゃん”な」
「俺も同じです」
「ほんとウケる」
“よっこいせ”なんておよそ若者らしくない掛け声で立ち上がったユーゲンさんはスクールバッグを拾って背負う。
「んじゃ今日のところは帰るわ。また近い内に引っ越してくるから、それまで浮気するんじゃねーぞ」
「しませんよ。俺まだ童貞ですし」
「マジか! え? 男はともかく、お前ってワケわかんねーくらい女にモテてたのに貞操まだ無事なん?!」
ニヤニヤとそれはそれは人を馬鹿にしたオスガキスマイルを浮かべるユーゲンさんに少々ピキるが、俺はもう大人なので冷静に言い返す。
「どうせユーゲンさんも童貞でしょ? 知ってますよ」
「うぐっ! そ、そーだよ! よく分かってんじゃねーか!」
「本当は今すぐにでもアンタで童貞卒業してもいいんですけど……倫理的に高校生はちょっと、せめてハタチになるまでは手ぇだしにくいですね」
ユーゲンさん、幽霊の時より若干身体が小さくなっているので俺のが納まるきれるか心配だな。
「はぁ? それって大学2年生になるまでヤれねぇってこと?? ありえなくね?!?!」
「ユーゲンさん、俺をどんだけ犯罪者にしたいんスか」
不満げに唇を尖らせるユーゲンさんを相変わらずかわいい人だなと思っていると、彼はパッと閃いた顔をした。
「お前がオレに挿れるのは駄目でも、オレがお前に挿れるならなんとなく許されるくね??」
「無理ですね。色んな意味で」
この人は何てことを考えつくんだ。俺がタチなのは決定事項だろう。そこの所、ちゃんと自覚してほしいな。
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