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俺にバッサリと無理だと言われたユーゲンさんはワタワタし始める。
「な、ならならなら~」
どうせろくなことを考えつかないだろうと警戒しつつ耳を傾けると、ユーゲンは自分の唇を指先で触れながら言った。
「チュー、しよう。その位なら別にいいだろう?」
「……キスくらいなら、まぁ。なら目を閉じて下さい」
「おう!」
言われた通りに目を瞑るユーゲンさんは本当に無防備だ。それだけ信頼されているということなのだろうけど。
俺は顔を寄せてチュッと音をたててキスをした。
「……はい、終わりました。今日はもう帰ったほうがいいっスよ。途中まで送りましょうか?」
パッと顔を離すと、ユーゲンさんがすごい怖い顔で俺を睨みつけている。
「おいこら、コーキ。お前、口じゃなくて頬っぺたにしやがったな! どーいうつもりだ! キスまでガキ扱いすんな! バーカバーカ!」
「その“バーカバーカ”を聞いたのも久しぶりっスね」
俺はため息をつきながらユーゲンさんの耳元にソッと口を寄せる。
「今唇になんてキスしたら、俺止まれなくなってユーゲンさんのこと帰してあげられませんよ? 親御さんに帰るって言ったんですよね? ハタチなんて直ぐですよ」
ペロリとユーゲンさんの耳の縁を舐めると、ビクンと面白い位小さな身体が震える。
「ハタチのお祝いには俺のをたんとあげてぐちゃぐちゃにしてあげますから、それまでは我慢してて下さいね。時々こうやって甘やかしてあげますから」
ふぅと熱い息を耳の穴に吹き込むと、ユーゲンさんはフラフラと俺に寄りかかってくる。
「……このガキ、我慢してとか言いつつ煽ってくんじゃねーよ。生殺しにしてーのか、コンチクショー」
涙目に真っ赤な顔。ぞくぞくとしてこっちの我慢がきかなくなりそうだ。
「かわいい。今夜はその顔でヌきますね」
「オカズ宣言すなっ!」
バシンと胸を叩かれたがやっぱり痛くはない。非力だなぁ。そういう所もバカみたいに愛おしい。
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