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私は外見的にとても美しいというレベルではない。
あえて言えば中の下という所だろう。
そんなの学校のクラスや社会に出ると指摘されなくとも自ずと自分のレベルなんて自然に分かってくるものだ。
当然美しい花には沢山の蜜蜂が寄ってくる。
つまりここでは美人とそれを狙う男子、という事にしよう。
花がそこにいるだけで蜜蜂は寄ってくる。いい気なもんだ。
と、卑下ていても何も始まらない。
私はモテタイ!と思った事はないが【狙った男は必ず落とす!】と常に試行錯誤している。
私はこれを【釣り】という事にしている。
何故なら糸を垂らすだけで食い付かないのなら、潮を読み、仕掛けをかえ、タイミングのいい時間と場所で糸を垂らすのだ。まさに【釣り】ではないか!
因みに私はこれで失敗した事はない。
確かに膨大な時間と念入りな作業と環境作りから始まるが、データが増えれば増える程成功率は上がるのだ。
中の下の女は外見で敵わなければ頭を使うしかない。
初めて【釣り】を始めたのは確か中学一年の頃だったと思う。
相手は同級生イケメン彼女持ち。当然彼女も美人だった。
好きになる、というよりは「こいつを釣ったらどんな快感なんだろう?」という興味の方が先だった。
とはいえ全く好意が無かった訳ではない。でないと、振り向かせよう、なんてまず思わない。
感情抜きにすればその辺の雑魚を釣る方が簡単だ。そんなのには何の力も注ぎたくない。
狙ったイケメンは同じクラスだった。接触は簡単である。
まずは自分の事を意識して貰わないと話しにならない。
私はその日から毎日偶然を装ったボディタッチから始めた。
古典的だがボディタッチは覚えて貰うのにはてきめん効果を発揮する。
教室の出入口で肩が当たる、彼の机の近くでふざけた拍子に彼に当たる。等々。
初めは「あ、、ごめんね。」の会話だけで終わらす。
相手が嫌悪感を抱いていないのを確認しつつ次のステップへ続く。
次は彼の日頃の行動【友人、部活、登下校、趣味、好きなもの】を徹底的に調べる。勿論彼女との距離も確認しつつ。
ここで彼が今彼女に対してとても愛しているというジャッジをした時、その先に入り込むのはなかなか難しい。
そういう時は【潮が悪い】と勇気ある撤退も時には必要である。
必ず満ちる時は来る。【釣り】は忍耐力なのである。
さて、狙った彼がそこまで彼女に執着していない事を確認すると、先ほどの偶然を意識に変えていく必要がある。
偶然が何度も続くと流石に顔と存在は覚えて貰える。
次はそれを「まさか、この子僕に興味ある?」と勘違いさせる事である。
この過程の時に虎視眈々と集めていた【環境データ】がものを言う。
例えば彼は野球が好きだった。私はそのチームや野球に関してデータを集める。
彼が友人と野球の話をした時にさりげなく
「え!○○君達、そのチーム好きなの!?私もなの!女子で野球の話ってなかなか出来ないからちょっとまぜてよーー!こないだの仕合凄くなかった?あいつの劇的2ラン!!」
と相手の質問や驚きを受けない間に怒涛の様にこっちに持っていくのだ。
しかも大事なのはメインターゲットと指定せず「○○君達」と周りから入って行くのだ。
まず自分の好きな事に共感して貰えて嫌な思いをする人間はいない。
まず本丸を狙うよりその友人と距離が近くなる方が効果的である。
この場合、本丸には彼女がいるんだから明らかに狙うと逆効果である。
要は奪うのではなく自分から【彼から】私に乗り換えて貰わないとならない。
仕掛けは次の段階に進む。
移動教室の時彼と彼の友達の肩を叩いて「移動だるいね!がんばろっ!」と言ってみたり、下校中【彼女不在時】を狙って
「あれっ?○○君ってこっち方面なの?私もなんだー。うん?いつもは彼女さんと帰ってるのかな?今日は寂しいねっ。」とさりげなく笑って声をかけてみたり。
ここで大事なのは【彼女がいる事を肯定する事】である。
私は敵ではない、全て飲み込む。という寛容アピールが大事である。でないと彼は彼女以外の女子と気まずく喋っている、という事になるから。
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