釣り頃?釣られ頃?【恋愛フィッシング】

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今まで沢山釣りをした。 ふりかえるとまともな恋愛をしてこなかったのではないか?と思える位してない。 釣ってはリリース、釣ってはリリース。 逆に考えると私は実に寂しい女なのかもしれない。 【本当の恋愛を知らない】 確かに釣るのは得意である。だから彼氏が今まで切れた事はないし、、でもどうだろう? 釣った魚に興味がなくてその後の恋愛イロハなんて楽しんだ事もない。その必要性を感じなかった事もあるが、何より【釣る】事自体に興奮を覚え、それ以上の興奮を味わった事がないのだ。 それはそれで困った。 歴史はなかった事には出来ない。無知だった頃の自分には戻れない。 もう今さら「男を落とすのなんて朝飯前よっ!」と堂々と言える人間が普通に人を好きになって恋愛が出来るのか? 確かに遊んでいる間はフィッシングでいい。楽しければいいんだから。しかしいつまでもこれでいいのか?と当然焦りにも似た何かが出てくる。私がおかしいの?普通の恋愛って何だっけ?とまで考えてしまう位、私はドップリ釣りに盲目していた。 そんな状況が暫く続いて釣った男と一度は結婚し、離婚した時にその出会いは突然現れた。 まぁでもきっかけはやはり「あ、とりあえずこの人とやってみたい。」という興味から始まった。 違ったのはそこからだ。 基本的には男と女、何となくの雰囲気からそれなりに身体を合わせていく。まるでお決まりコースだ。 今回もそうかと思っていた。 だが今回の彼は違った。 ホテルのベッドの上でプロレスごっこが始まった。色気もくそもない。こんなの初めてだった。 今まで女の身体を使って落としてきた戦法が全く歯が立たないのだ。 でも彼はかなりユーモアで、かつ緊張していたのか彼の下半身は全く役に立ちそうもなかった。 「割りばしで添え木でもします?」と私が嗤いながら言うと 「おぅっ!お願いしまっす!」と返す彼。 本来男の人にはデリケートな問題。しかし常識の通用しない彼は本気で添え木の振りをしようとする。 私は大爆笑。こんな人、見た事ない。 彼は私の今までやってきたどの戦略も効果がなかった。 【これなら!】と思ってやっていた事 「え?そうだったん?気がつかなかったわ。」とか、【気にしている光線】を出したとしても全く気がつかない。とことこんやったがベッドでも毎回プロレスごっこになり致す所ではない位毎回爆笑。 うーん、これは流石に落とすのは無理かなぁ?と思っていた矢先、雨の中急に自宅のチャイムが鳴った。しかも連打で。 「誰だよ💢」と思いドアを少し開けると、その常識のない彼がずぶ濡れの状態で玄関にぐぃと入り、急にハグをした。 「俺と付き合ってくれ!!」と強引なキス。 私は慌てた。 今まで計算に計算を重ね、相手に告白させる事はあっても、何の計算も全て台無しになり、諦めていた所の計算にない相手からの告白。 「ちょ、、ちょ、待って!え?何?どゆ事?」流石に動揺は隠せない。え?どこで私の事好きになった?全く心当たりがないんですけど?? 「ずっと、好きだった。でも今日を逃したらもう言えないと思った。」 彼は酒の力を借りていた。私ももう寝る前だったし、確かに彼の言う様に私達は明日からは別々の現場だ。二度と会うことはなかっただろう。 私は効果なし、と決断したから彼の事諦めた事になっていた。 なのに彼は酒の力を借りてでも勇気を出してずぶ濡れのまま告白しに来たんだろう。 そう思うと余りに彼がいとおしく感じた。 もしかしたらこれが恋愛の始まりなのかもしれない。釣る、釣られる、関係なく「いとおしく思える存在」 ただ、彼が酔っぱらっていたので 「明日素面になっても気持ちが変わらなかったらまた来て。」 と伝えるだけでいっぱいっぱいだった。 あんなに真っ直ぐに何の計略もなく告白されたのは産まれて初めてだった。私とは、、全然違う。彼は勝算なんて考えていない。 次の日彼は素面でやってきた。アルコールが入らないと基本無口な人。 扉を開けるなり早々何も言わず私を抱き締めた。 「もしダメだって言ったらどうするつもり?」 「好きなもんは好き!伝えたかった。ダメでも仕方がない。」 目から鱗だ。私は負けない釣りをする。彼は計算なしに食いついたらラッキー!位の勢いである。 それから私は彼と恋愛を始める事になったのだが、それから釣りをしなくなった。 何故なら彼は毎日がビックリ箱の様な人で、こちらがいくら計算しても突拍子もない事をやらかしてくれる人だから一緒にいるだけで楽しい。 常識の上に計算を入れて釣りを楽しんでいた私のやり方は完全に通用しない。 常識外れだからこ面白く、計算がないぶん真っ直ぐな彼に私は惹かれている。 だからもう釣りをする必要はないし、ある意味毎日しでかす彼のビックリ箱に期待している。 そういう意味では私が初めて釣られた事になるのかな? もう付き合って長いが、未だに私は彼の釣り方【そもそも常識的に読めない】が分からない。 うん。でもわからないままの方が楽しいかも! 沢山釣りをしてきたから分かる、逆に彼の天然さ。 恋愛って計算でするものじゃないんだね。 でもでも女子諸君! 釣りのイロハは誰でも使える!覚えておいて損はない! 中の下の私が言うんだから間違いない! 今は落ち着くとこに落ち着いちゃったけど、出会いは沢山ある! 釣れる釣りましょ! 釣りもね、恋愛も長期戦。若ければ若い方がいいけど、女を捨ててなければ引退なんてない! 釣ってリリースなんて犯罪じゃないし! 花に成れなきゃ頭を使うべし!! 世の女性よ!ファイトフィッシング! 完。
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